2014/4/29

『レジリエンス 復活力–あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』 Andrew Zolli – 向こう10年考えるべきこと

2年くらい出遅れちゃってたなという気がしました。日本では昨年の2月に発刊された本。ひょんなことからレジリエンスというコンセプトを知り、この本を手に取るまで時間がかかってしまいましたが、読んでおくべき本だと思いました。

レジリエンス 復活力--あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か
アンドリュー・ゾッリ アン・マリー・ヒーリー
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 5,305

まず、レジリエンスという言葉ですが、自己回復力とか弾性とかいう意味のようで、本書の原題は『Resilience: Why Things Bounce Back』。本を読んで改めて自分の言葉にしてみると:

頑強なシステムは脆弱性を孕む。クライシスを許容するシステムが必要であることと、危険が閾値を超えた際に、その状況の変化への適応ができるシステムでなければならない。その適応のためには危険のモニタリング(監視)とセンシング(察知)が必要。

このために必要なことが具体的事例を挙げて説明されているのが本書で、珊瑚礁の生態系の話、サブプライムの金融危機の話、アルカイダの話、ウィキリークスとアノニマスの話、北米の送電網の話、個人のマインドフルネスの話、など、様々な分野が横断的に扱われています。つまりここで言うシステムとは、いわゆるIT的な意味でのシステムに限らず、しばしば生態系のことだったり、金融市場のことだったり、制度のことだったり、ネットワークのことだったり、人間の精神性のことだったりするわけです。

だから純粋なビジネス本というわけでもないのだけれど、何かの「グランドデザイン」を考える人には是非触れてもらいたいコンセプトだと思うし、僕らはもうクライシスから逃れられない。環境変化、自然災害、人口減少、都市化過疎化、ある人が「これからはサステイナビリティからレジリエンス」と言ってた、という話をしてましたが、その見解は間違ってなくて、システムの内側をどう維持するかという視点から、システムの外側に放り出された時の適応を、鳥瞰しながら考えていかなければいけない、そんな問題設定だと思います。

まず思い出したのが、ISHINOMAKI 2.0の人からよく聞くこと。

石巻は生まれ変わります。3.11前の状態に戻すなんて考えない。昨日より今日より明日を良くしたい。自由闊達な石巻人のDNAで、全く新しい石巻にならなくてはならない。石巻2.0。私たちは新しい石巻を、草の根的に作ります。

しばしば東北に行く機会があるので、人に「復興は進んでいますか?」って聞かれるのだけれど、多くの場合、それは「復旧は進んでいますか?」を意味しています。2.0からは小泉さん渡邊さんにも寄稿いただいていますが、彼らが取り組む「防災」は少なからずレジリエントな設計がある。

後、やはり児玉さんと話した「イノベーションはクライシス・レスポンス」という話、これがまさしくレジリエンスを考えるための大きなヒントであると思っていて、児玉さんは自動車業界の環境適応やフクシマのこれからなどを含めてお話してくださいましたが、「現実的な解」はクライシスからの「復旧」ではなく、「復興」にあって、それを可能にするのが、そこで生まれるイノベーションと、そに適応するレジリエントなシステム、ということなのだと思います。

こないだ @gamella 君が「日本においては「2020年に残る仕事、残らない仕事」より、人口減が一番大きな変化要素である」というのを書いていて、人口動態論的な意味での地方都市から地方大都市への人口の吸い上げが起こっているというのは感じていて、ただ、これは状況変化に応じた消去法で問題解決の前提条件なので、じゃあその閾値を外れてしまった状況にどうシステムを適応させるか、ってのがこれからの議論になってくると思いました。先日こないだ僕も「流通量の最適化と「緩やかな衰退」とリジリエンス」という記事を書きましたが、「来るものは来る」と考えると、具体的な方法や手段やサイズ感をしっかり考えながらETを進めていかなければいけないと思っています。あと、ユレッジも一つ大きな視点として、「リジリエンス」を明示的に持って進めていきたい。

そう言えば、僕のプロフィールに書いてあるんですけど:

クライアントとパートナーとETが「やりたいことを、やりたいように、やり続ける」ための仕組みづくりに取り組む。

これは多分、僕の文脈でのレジリエントなシステム作りってことだと思うんですよね。

最後に2年前の記事ですが、WIREDからの引用を。

崩壊への「弾力性」を説く、楽観主義者:アンドリュー・ゾッリ « WIRED.jp

リーマンショック前の金融業界がいい例だ。あの頃の金融業界は、まさに金儲けのエンジンといった状態で、とても価値のあるもの──コカインと同じくらい価値のあるものに見えた。とても儲かっていて、だれもが金融業界で働きたいと考えていた。金融各社の業績は信じられないほど連動していた。なぜなら、どの企業も同業他社の一部を買うという形で多様化をはかっていたからだ。
しかしそうした投資の実態は、ちっとも多様化になっていなかった。価値創造に関するモノカルチャー化(文化の単一化)が起こっていた。システムが弾力性を保つうえで、多様性は特別な価値を持つ。そして多様性を保つにはたくさんのコストがかかる。つまり、予想したほど利益がでないということだ。ある銀行家はこう言っていた。
「このイス取りゲームに終わりが来るのはわかっている。けれども、だからといってそれを見送れるだけの余裕もない」

ミニマムセットの多様性をどこまで包含できるかが僕の勝負かなあ。

加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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(2012-10-5)
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