2014/3/20

『津波、写真、それから —LOST & FOUND PROJECT』 高橋宗正 – 写真を洗う

震災の後には数多のプロジェクトが生まれて、全然追い切れてないですよね。うん、それは無理と言って、ほぼ正しい気がします。Lost & Found Projectという名前はこの3年でもしかしたら、目にしていたかも知れないけど、僕はそこに強く引かれることなく、今に至っていたわけですが、たまたまこの間、Facebookで見かけた「写真を洗う」というフレーズが妙に気になって、本を購入してみました。

津波、写真、それから —LOST & FOUND PROJECT
高橋宗正
赤々舎
売り上げランキング: 36,956

震災後、津波で、汚れてしまった写真を、洗浄して、持ち主の元へ返す。写真を洗う。写真を撮ることを生業にしていた人が、写真を洗うことをする。そのことがどうというか、震災を契機に、状況を受けて、これまでとは違う写真への関わり方で、写真に接した人がいたんだな、って言うことは、割と厳かに受け止めるべきことじゃないか、みたいなことを思いました。展示観に行きたかったと思うし、すごいプロジェクトだなと思いました。読み終わって検索したら動画があった。

そう言えば、たまたま先日、亡くなった人の死後、手紙や、後はやはりネットのなにかが残ったり、公開されたりすることってどうなのだろうという話を見かけて、確かに難しい問題だと思った一方で、何もなければそこに残ったはずのもの、だから「Lost & Found」ということだと思うんだけれども、そういう視点でモノを考えると、受け渡されるところには、やっぱり受け渡されるべきものだし、パブリックなもの、というより、パブリックなすがたかたちか、そういうものが残るだけでは足りないものがあるだろうなあと感じました。

あともう一つこの本が良かったのは、プロジェクトを時間軸で追えるところでした。冒頭に書いたように、震災の後には数多のプロジェクトが生まれて、全然追い切れてない。僕もしばしば自分に関わりのあることしか追えてない気がしていて、それで良いと思うんだけど、こういう風に何かのとっかかり、だから今回で言うと「写真を洗う」って言葉を見かけた、ということだったんだけれども、そういうものがあった時に参照できるコンテクストがパッケージになっている、特に本という時間をある程度確保して、正対しながら読む、という形を取ってることってありがたいと思いました。

なんかでも必要以上に詩的に捉えたり、アートみたいなこととして位置づけたりするのではなく、やっぱり読んでもわからなかったり、想像が至らなかったりすることの方が多いし、そもそも極めてパーソナルな事柄の集積なんだろうと思うんだけれども、あれからの日々が良い物語として紡がれていて、読めたことを幸せに思えればいいのかなあというのが感想です。良い本でした。

個人事業、加藤康祐企画設計のWebサイトはこちら

ひとり仕事: フリーランスという働き方
(2012-10-5)
売り上げランキング: 14,705
100円