2007/2/9

種を蒔いてもらったこと

後輩が就職活動の時期ということで、応援メッセージ代わりに昔話を。

学生時代は遮二無二頑張ったという自負はありますが、でも一方で、僕より頑張った人もいるだろうとも思います。僕はデザイン会社のプロジェクトマネージャー(とは言えボスのアシスタントと学生スタッフのマネージメント)の仕事と、貘之會というラグビーチーム(大学三年時にはFWキャプテンを務めました)という二足の草鞋を履いていました。ですから、学生ベンチャーを興したような人ほど仕事一筋ではなかったし、体育会でラグビーに打ち込んでいたほどスポーツ一筋ではなかったし、それに加えて大学ではからきし勉強しませんでしたから、ゼミに所属して研究一筋に頑張った人にも及びません。

ラグビーの話はこれまでもしてきたので、今日は仕事の話を。

今ふと立ち止まって思うのはすさまじい程の「種を蒔いてもらった」ということです。すさまじいなんて、種蒔きとは似つかわしくない、いかつい言葉を使ってみましたが、本当にそれくらい、よくよく「種を蒔いてもらった」という自覚があります。この恩義は一生ものだ。

学生時代の仕事は会社自体が「株式会社」でしたし、ちょっと驚くような大きな会社を相手にすることもたびたびありました。ですから、今の僕の仕事と少しスケールが違うと言えば違うでしょうし、会社とは言え、ほぼ社長=会社でしたから、あの頃ああやって個人でクライアントと向き合って仕事をしていた社長は驚異的でしたし、今でも畏怖を覚えます。

ただ仕事のやり方というのは、クライアントの規模の大小に関わらず、肝は違っても、大切なことは大まかには変わらないことが多いわけで、その場その場でどれだけ実務に学んだことを結びつけられていたかはわかりませんが、その当時学び得たことが窮地に立った時引き出され生かされていることを実感します。

学生時代の僕は「できない子」だったと思います。友達は「加藤は広末より忙しい」なんて笑ってましたが、忙しいということはそれだけ要領が悪いか問題が起きているわけですから、何のことはない能力の足りないことの証明だったと思います。ただ「興味」は比較的旺盛な人間でしたから、色々な場所に連れ回ってもらい、色々なことを教えてもらい、色々な人に会わせてもらいました。色々な人の話す様を脇で聞き耳立てていました。そのことが今の僕にとってどれだけ価値があることか。

勿論、学生時代の時と今は全く違います。筋は自分で通さなければいけませんし、仁義は自分で切らなければいけません。言葉に詰まっても、横から誰かが助けてくれるわけではありません。名前を借りてやっている仕事と、自分の名前でやっている仕事では役割も責任も要求される能力も要件も違ってきます。

今のやり方は学生時代にやっていたことの延長線上であるかと言えば、そういうところもありましょうが、大部分は独立してからお付き合いを始めたクライアントやパートナーとの付き合いによるところが大きい。しかし、「しっかり種を蒔いてもらっていた」という実感はところどころで湧いてくるのです。

惜しむらくは在職時に蒔いてもらった種を在職中に結実させられなかったことですが、僕はおそらく即興性のない人間で、じっくりじっくりその時その時を積み上げることでしか成長できない人間なので、まあいつかどこかでとは思いますが、ついぞ同じ会社でもう一人の「顔」として並び立つことはできませんでした。それが、悔しいとか申し訳ないとかではなくて、「いつかどこかで」と思っていることが救いなのかも知れませんが。

今振り返って思うに、僕の学生時代の最も素晴らしかった経験というのはこの「種を蒔いてもらったこと」ではないかと思うのです。学生時代にできることなんてたかが知れてますし、大成する人なんて一握りでしょう。ただ「種を蒔いてもらう」ための必要条件というのはきっと蒔いてもらう側にもあると思いますし、まず何よりも「種を蒔いてもらう」人に出会って懇意にしてもらって喜びを分かち合える関係を築かなくてはいけません。

僕はそういう意味で非常に恵まれた学生時代を過ごしました。

だから、ちゃんと「種を蒔ける人間」になりたいんですよ、僕は。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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