2013/7/26

現場感

近年、好んで、「現場」という言葉を使うようになりました。現場とは何か。僕の仕事で現場って言ったら、基本的には、客先か自宅オフィスです。僕、別にあんまり好んでノマドじゃなくてですね、用事なかったら帰ります。うーん、そう考えると、ホント、クライアントの前かパソコンの前だけが、僕の現場になっちゃいますね、ある意味、さもしい仕事ではある。

というわけか、いつからか、人の仕事の現場を見るのが大好きになりました。自分の仕事は日々喧伝してるから、まあそういうのは割とどうでも良いというか呼吸するようにやっているわけで。

「良い現場でした!」とか言ってるのは、大概、あれ自分の現場だと思ってないんですよ。人の現場にお邪魔しているという感覚。極端な言い方をすると、いつしか人と会って話を聞くだけだと、満足し得ない部分って出てきたんだと思うんですよね。

勿論、世の中には成果物でしか知り得ない世界もあるし、外から介在できないような仕事の方が多いわけで、会って話を聞くのが最大限、ってケースも勿論あるけど、物足りないというよりは、そこからもう一歩先に踏み込めるケースは面白いんだろうと思うんですよね。

それは、しばしば、見学という形を取ったり、取材という形を取ったり、撮影という形を取ったりする。僕が地方に行くのを、必ずしもビジネス・ミーティングのためだけじゃないのに、出張って言い張っているのは、大概この組み合わせだからですね。

知り合いの現場に何らかの形でコミットして、知り合いの仕事ぶりを見る、そこを中心にその現場を把握する。その中で、テンポラリー・スタッフの自分がどう動けるかを考える。そうするとそういう現場の自分なりの掴み方が見えて来る。ある意味での場の咀嚼。その現場の理解。

そういうのは文献では決して学び得ないものだし、たまたま役割を宛てがわれないとなかなかアプローチもしづらいし、器用貧乏が生きる部分ではありますよね。前に「ちょっと手伝う」という記事も書きましたけど。

そうやって現場から持ち帰ったものを、自分の現場でパッケージする。ブログに書くだけかも知れないし、メモ作るのかも知れないし、写真のレタッチかも知れないし、礼状を書くとかもそうだろうし、自分の役割のフィードバックもらうことかも知れないし、もしかしたら、それを起点に何か制作が始まることもあるのかも知れないし。

あ、そうそうパソコンの前って言っても、今日、石巻でやってる「石巻Hackathon」とかは良いですよね。そういうのはまた違う現場感あると思う。

やっぱり知識より伝聞の方が有用だし、伝聞より経験の方が有用だし、そういう形で現場感を手元に蓄えていくと、違う現場でどう活かせるかとか見えて来るし、あっちはこうで、こっちはこうだから、そっちはそうだ、みたいな話になる。僕あんまり自分自身がいる業界のこと詳しくないし、何かを手伝う、という時に手伝う相手の業界のことは相手の方がよく知っているけど、手伝う相手の属するその他の業界のことについてなぜか詳しい、みたいなのがアドバンテージとして働くことって多いなあって思うんですよね。まあだから、新しいクライアントとの付き合いが始まっても、あんまり業界研究とかリサーチとかしないですよね。その業界のことは、クライアントに聞くのが一番早い。

常にその業界以外のことに強い、という状態を作るのに現場に出かけることはとても大切なことだし、僕にとっての数少ない現場である「客先」で一つ仕事を終えれば、そこでかなり現場感を積むことができるし、そうやって、ぐるぐる動きながら、現場感を養う作業というのは、営業ということだけでもないし、企画ということだけでもないし、クリエイティブということだけでもないし、エンジニアリングということだけでもないし、まあなんか現実味のある経験則、ってやつですよね、多分。

自分の本来の現場を疎かにするのは決して良くないことだけど、まあ人の現場を覗いて回るのは楽しいですし、どこの水が甘いかみたいな嗅覚だけは働く気がするので、今年も色々見て来たいと思うんですけどね。猫の手も借りたい、って言うけれど、こういうことは猫にやらせても意味がないのだ。自分の糧にせんと。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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