2013/3/22

概念構造のフラット化について、あるいは、概念のマッシュアップについて

あの、割と難しめのタイトルをつけてしまったので、割とわかりやすい話をします。

例えば、2つの概念を例示します。仮に「コミュニケーション」と「広告」としよう。

という時に、どっちが上位でどっちが下位ってあると思うんですよね、なんとなく。で、これは多分、「立場」によることが大きい。

例えば、コミュニケーションの仕事をしているという立ち位置の人は、コミュニケーションが包含する概念の一つとして広告を位置づけると思います。

逆に、広告の仕事をしているという立ち位置の人は、広告が包含する概念の一つとしてコミュニケーションを位置づけると思います。

で、それはどちらが正しいというわけではない。むしろ、概念に優先順位をつけることは思考の方法論として結構重要なことだと思うし、組織の収益モデルによって、また業種のプロフェッションによっても、よりわかりやすさを作ってくれる重要な整理整頓の方法だと思うんですけど。

一方で、しばしば、広告の人だからコミュニケーションそう語っちゃうんだなあ、とか、コミュニケーションの人だから広告そう語っちゃうんだなあ、という負の面ってあって。僕は経験としてたまにそう思うことはあるし、広告とコミュニケーション以外でもそういうことってあるんじゃないですかね。

ちょっと話を移すと。

UXのことを考えるのって面白くて、なぜなら、昔からあったけど、比較的新しい分野だから、Natural Born UXerって人、あんまりいないんですよ。エンジニアリングだったり、デザインだったり。その双方に立脚しているのがUXと言える。まあだから、概念のマッシュアップが行われている領域だったりするんですよね。

UXの方法論って、それはそれであって、関連書籍も出てるけど、本質的にはそこだと思っていて、というのも、じゃあ、UXerを育てるにはどうする?となった時に、普通に考えると、エンジニアの人か、デザイナーの人か、どちらかが異分野を勉強してみたいな話になると思う。

という時にどっちの出自がより向いているかって議論は僕は答えを持っていないんですけど、多分、UXってエンジニアリングとデザインが両輪で機能しなければいけない分野で、ある意味で、二つのスキルセットを同じレベルに、概念をフラットな状態を保たせるバランス、みたいなのが必要になってくると思うんですよね。

で、個人的にUXに関して一番啓蒙が進んでいる分野って実はゲーム業界だと思うんですよね。僕が10年以上前にゲーム会社の仕事をいくつかしていた頃も、そういう業界の人達は、さんざんそういう話していたし。今と違って、昔はゲームを少数でも作れたので、一人の人にノウハウが凝縮されていたみたいなこともあったろうし。ドラクエのウインドウシステムとか、パソコンの世界より全然進んでいたなあと思います。7年くらい前に「ゲームというインタラクティブコンテンツの先端」ということで書いていたりする。

今日もそういう話してたんですけど、スモールパッケージでアウトプットできた時代は、一人が複数のプロフェッション(今そうだとされているところの)を抱えていた。けれども、アウトプットのクオリティが上がっていくごとに、そこにかかる人的リソースも大きくなって、チームが大きくなれば組織も大きくなり、どんどんプロフェッションが高度に分業されていく。なんだけど、ふとUXみたいな話が大事だよねってなった時に、エンジニアリングとデザインの距離、ぐぐっと離れてしまっていて、じゃあどういう風に両方できる人育てるの、となると、結構難しい問題になって来るわけです。例えば、ラピッドプロトタイピングという時に、形にするところ、一人でできちゃえば、最終的にたくさんのリソース割いてアウトプットするにしても、入り口の作業はスモールパッケージが向いてたりして。

前に、「ダブルメジャー」って話書いてるけど、そういう必然って、改めて生まれて来ている気がしていて、最初の広告とコミュニケーションの話に戻ると、だから、何業だか明確にわからないから仕事頼みづらいってのは個人が対象でも法人が対象でもそうだと思うんですけど、一方で、さあ新しいこと取り組まなきゃいけないって言った時に、そこで持っている概念の優先順位というか上位下位の構造みたいなの、結構足枷になると思うんですよね。

という辺りで、概念構造のフラット化、みたいなことを組織や業務やプロジェクトに落としこんでいくみたいなのは、結構大事なんじゃないかなあと思いました。この先、世の中どうなるか、よくわかんないですしね。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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