2013/3/3

『石巻市立湊小学校避難所』について

本当はこの話、今年の3月11日に書こうと思ってたのですが、そんなあざといことせずとも、書くべき時に書いた方がいいや、と思ったので、書きます。

石巻市立湊小学校避難所 (竹書房新書)
藤川 佳三
竹書房
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『石巻市立湊小学校避難所』というのは元々ドキュメンタリー映画で、今日、読んでいたのが、その監督、藤川佳三さんが書かれた本です。あの、僕はこの作品は素晴らしい、とかいう権利は毛頭ないと思っていて、映画のことも、ドキュメンタリーのことも、そして避難所のこともよくわかってないですから、藤川さんのことを少し書きます。

僕がちょうど1ヶ月前、石巻で色々見せていただいた後に、美味しいご飯をいただいて、更に酒を飲み、復興民泊に帰った瞬間寝入って(そして、破壊的ないびきをかき)、素知らぬふりして、朝しれーっと起きて6時くらいから、かめ七呉服店さんの前のベンチでPC開いてチョコかじりながら、もろもろその日のこと詰めていて。大阪から来た青年とひとしきり話した後に、そろそろ皆起きてくるかな、寒いしなと思って民泊の広間みたいなスペースでぽけーっとしていた時に、カメラ片手にお出かけするところだった藤川さんとお話をする機会がありました。

実は前日、少しご紹介を受けていて、今度、石巻で日和キッチンという飲食店を始められる設計のお知り合いの(この人、すごくて示し合わせてないのに、毎回、石巻会うたびに必ずどこかで遭遇しているんです)仕事を撮影されている映画監督さん、みたいな感じで少し話はうかがっていて。

物腰穏やかな僕より年配のおじさまという感じで、朝もすごく和やかに色々面白い話を聞かせてくださって、それは映画のことも含めなんだけれども、僕の話も少しさせていただいて、牡鹿半島って元々鹿食べる習慣なかったんですけど、近年、増え過ぎた鹿を殺処分するなら鹿肉を流通させましょうって業者さんが出てきたんですよ、とか聞いたり、そう言えば僕の友人が福岡で屠殺ワークショップというのをやってて映画の会社にいるんですよ、とか話したり、そういう「震災以外の話」もできて、逆に言うと、僕多分、ずっと被災地入ってる人と、ほぼ初対面で朝から震災そのものの話する勇気なかったってことだとも思うんですけど。

先に藤川さんは出発されて、僕はその後、午前、高校生たちと会食、午後、ヘンプのワークショップという予定で、午後、藤川さんもIRORI石巻におられて。取材のアポ待ちというお話だったので、ヘンプどうですか?とお声がけしてみたのだけれど、「いや、僕は、ちょっと」みたいな感じだったので、うん無理強いすることではないし、と思っていたら、スタートあんまり人が集まってなくて、僕がそうだーと思ってイトナブへ高校生の勧誘に行っている間に、AP Bank Fesでも客引きで大活躍するというmaricoさんのところのお弟子さんが、見事、藤川さんをワークショップの席に座らせていました。さすがや。

そんなわけで、ヘンプのワークショップはきっと楽しんでもらえて、僕も藤川さんがヘンプを編む手元や、完成した時の記念撮影とかさせていただいて(今思うとプロに大それた話だ)、その後、僕らは撤収だったので、皆さんにお別れを告げ、こちらに引き上げて来ました。

それからちょっと色々ありまして、『石巻市立湊小学校避難所』の試写を観せていただく機会がありました。Macで2時間観るのもなんだしと思って、ちょうど購入を検討していたプロジェクター買って、やきもち坂の食卓の白い壁に映像映して、Bluetoothでスピーカーに音飛ばして鑑賞。

渡波獅子風流(ワタノハシシフリ)の映像とお囃しから映画は始まります。映画を見終えて、もう一人見てもらわないといけない方がいたので、DVDをお渡しに行って、その後、僕はいつもお世話になっている蒲田のshe-Bop terraceで、かきフライデーと題した、三陸の牡蠣も使用したオーナーズテーブルで、牡蠣のコースをいただきました。

その後、僕は映画のことを藤川さんにお伝えするタイミングがありまして。何書いて良いのかわからなかったけど、そのなんだ、自分がこれまで経験したこと(それは、震災のことではなく)と、今回の映画で観たものに、何かしら織り重なる部分があって(本質的には違うかも知れないけど)、僕に取ってはそう感じたのは大きかったと思うので、そんなことをお伝えしました。

それから、Facebookで本が出ます、というのをお見かけして、おお、と思って、注文して、手元に届いて読む時間が取れたのが今日、というところだったのです。書籍には、映像に出ていない話もあるし、書籍を読んで映画の内容やシーンを大いに反芻することあり。映画のその後の話もなんか読めて安心したという気持ちもあるし、最後の最後でこれからの石巻について藤川さんが展望しながらしめくくられる最後には、その先に見えてる世界って僕の知ってる人達が少なからずそのロールを担っている部分だと思うし。

それで、『Japan In A Day』の時にも書いたんだけど、僕普段ほとんど映画観ない人で。ただ、今回たまたま石巻で藤川さんに出会って、映画を観る機会をもらえて、本を手に取ることができて良かったなあと思います。多分、僕は避難所そのものへの興味というより、藤川さんという人への興味で、本までを読み終えたってところがあるんだと思うんですよね。そして、どこまでかはわからないけど、避難所というものに触れることができて、そこにいる人達の表情を想起することができて、何か多分、自分がこれからを考える時の、材料って言うと聞こえ悪いけど、自分の頭にとってはリファレンスの一つになったと思います。

勿論、『石巻市立湊小学校避難所』という映画も、『石巻市立湊小学校避難所』という書籍も、それぞれがとっても良い作品なんですけど。僕に取っては今回そういう経緯で、それが僕にはとても恵まれていたことのように思えて。

人間に対する興味って多分大事で、僕さらさら1億3千万人の面倒みる気はなくて、でも手の届く範囲のことはきちんとしたくて、ただ手の届く範囲のことだけで、うちは常にフル回転できる。石巻一つとったって、小泉君が行ってなかったら、行ってなかったろうし、画伯がなければ再訪の機会はなかったかも知れないし、古山さんと出会ってなかったら再再訪の機会はなかったかもだし、とか。どの仕事をとってもそういうもので動いている。今走っている仕事も、多分全部そう。

というわけで、『石巻市立湊小学校避難所』に至るまでの顛末はすごーく実りのあるものでした。

良い週末の終わり。

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