2012/12/21

「駒場科学史講演会『プロジェクト』と企業の社会的責任」に行って来た

いえい、東京大学初上陸!ちょっと頭良くなった気がしたぜ(違う)!というわけで、今ロンドンのキングス・カレッジで日夜研究に邁進している(はずの)友人の歴史学者、山本浩司君の講演に行って来ました。面白かった!ちょっとね、総括するには僕が専門的な知見がなさ過ぎるのですが、今、社会起業とかCSRとかって語られている文脈って、歴史を辿ればイギリスの近代に既にあって(ていうところからして頭になかった)、特に山本君のアプローチはそれらプロジェクトに対するCriticismの構造を紐解くような話でした。すごい面白かったので、まずは講義メモをばっくり晒そう。どんどん、加速度的に山本君の話すスピードが上がってって、僕のメモがついていけなくなったので、話をくみづらいところあったらすいません。

  • 東大橋本教授(科学史)がホスト
  • レディ・ガガと孫正義の共通点とはなんだろう
    • それぞれの職能を活かして震災に対して社会貢献の約束を申し出た
      • ガガーリストバンド
      • 孫 ー電田
    • ある種の不信、懐疑の対象になった
      • ガガー法律家に起訴
      • 孫 ー金儲け、売名行為
    • を踏まえてエピソードの現代的意味を考える
  • 1698 ウェールズでの鉱山事業がロンドンで宣伝された
    • 前の150年と比べてこの150年はイギリスがヨーロッパの片田舎であったところから覇権を握っていくような道程の最初の時期にできた株式会社
    • 戦争特需、銀行ができ、株式市場が拡大し、株式会社が増えた
    • Mine-Adventure(鉱山冒険社)→山本君の研究の原点
      • 公共の利益(利潤)
      • 貧民のための敬虔の実践(敬虔)
      • 投資家へのフィードバック(社会貢献)
      • 失敗した
    • 資本主義の正当化とその過程
      • 社会的
      • 宗教的
      • 道徳的
    • 空手形(ガガ、鉱山冒険社)
    • 既得権益や腐敗の隠れ蓑(電田構想)
  • 正当化原理の機能不全
    • それはどのような社会過程を経て修正されたか
    • どのようなステイクホルダーが影響を与えたか
  • フィールドワーク(初期資本主義のエスノグラフィー)
    • 経済学も経営学もなかった
    • 資本主義の正当化原理と機能不全をどのようなフレームワークやパラダイムによって理解し、対応したのか?
    • →「プロジェクト」認識と行動の枠組み
    • 近せ当時のプロジェクト文化に即して資本主義の正当化原理と機能不全の歴史を振り返る
    • 我々の現在地をコンポ的に見直すような歴史的な縦軸は得られないか
  • プロジェクトと呼ばれたビジネス事業はどのような背景で台頭した
  • プロジェクトはどのように批判されたか
  • 起業家らはどのように批判と不信に対応したか
  • グローバルな文脈
    • 小氷期
      • 短い夏と凶作
    • 大航海時代・帝国主義的拡大
      • 銀の流入、ヨーロッパ全体規模のインフレ
    • 人口増加→実質賃金低下
  • 宗教改革と宗教戦争
  • 基金、インフレ、賃金低下
    • →貧民救済が社会的課題
  • 貿易植民地競争と宗教戦争
    • →国庫の枯渇
    • →貿易バランスを保つために輸入代替が必要
  • イギリス政府の限界
  • そこで台頭したのが「プロジェクト」
  • 今の学問が細分化される以前のコンセプト(Pre-disciplinary)
  • ラテン語で
    • 前方に投げる、提示する
    • 議論する、見せびらかす
    • 賢者の石(錬金術)
  • 二重の錬金術的変異を含意
    • 無駄から富を
      waste→wealth
    • 個人的利益を生みつつも同時に公益・国益・社会貢献を
      private interest→public good
  • 社会貢献の名のもとで階級を問わず多くの個人・団体が新規プロジェクトを提案
    • 新規産業が成長
    • 安価な生活用品の大量生産
    • 新たな商品作物の導入
  • ジェームズ一世とチャールズ一世の統治下で多くのプロジェクトがスキャンダルを引き起こす
    • 事業の失敗、目標や約束の不履行
    • 特許や認可制度は登録単勝の検査・検討を伴わない→腐敗
    • 公益の名のもとで有名無実の発明、土地改良、業界独占(織物、干拓、塩)
    • 事実上は営業許可量税金の取立て、それを徴収人と国庫で山分け
  • 公益 Common wealthの曖昧さ
    • 君主、側近、臣民一般
  • プロジェクトそのものの曖昧さ
    • 国庫・王権の増強、社会福祉の充実など異なる目的が混在
  • 枢密院も議会も問題のある事業を取り締まる動きを見せた
  • 1624年独占禁止法(Statute of Monopolies)
  • しかし、抜け道が残された
    • 1630年代にギルドが乱立
  • 王権が独占特許を乱発、プロジェクト批判が始まる
  • プロジェクタ像
    • 社会問題に対して錬金術のような胡散臭い解決策を企てる者
    • 広義
      • 貪欲な悪人・愚者
    • 狭義
      • 王権を濫用し、社会貢献を装う
      • 産業独占、経済統制、新税徴収の手先
    • ピューリタンと同様、同質の社会階級ではなく、批判によって創りだされたイメージ
    • 風刺広告?風刺漫画?でプロジェクタ批判のイメージを紹介
  • データベースでプロジェクト、プロジェクターというキーワードの登場頻度を抽出
  • その上で3つの区分
    • 中立・記述適用法
    • 否定的用法
    • その他の用法(数学における投射や投影)
  • 1641-50増えたのはほぼ否定的な意味
    • 検閲制度がなくなって出版業界の拡大の反映?それよりも大きな増幅幅
    • 1641直前に議会が王に提出したGrand Remonstranceにもプロジェクタ批判
  • 二次創作とマルチメディアでのイメージ流布
    • 読んで分かる、見て分かる、歌って分かる
    • 社会階層の垣根を超えて批判は広がっていた
  • プロジェクタ像の社会的拡散
    • テクストの制作意図は複雑、それぞれが個別研究に価する
    • しかし、これら批判の総体として、1642ねんころまでにはレッテル、キャラを作り出すに至った
    • 独占化、住民の抑圧者としてプロジェクタ像がキーワード
    • そのイメージ、産業独占と王権を背景にした労働と通商の自由の抑圧から距離をとるようになった
  • プロジェクタ不信に起業家らはどのように対応したか
    • 不信の自覚(Stigma Consciouness)
      • 債務者の手紙
      • 文献
    • 脱プロジェクター戦略(Role-Distancing)
      • 悪人、愚者として
        • 詐欺・事故利益の追求というイメージ
        • →科学者
      • 産業独占化として(政治経済的文脈)
        • 尊大な言動、王権の濫用というイメージ
        • →経済、技術革新を推進することは可能か?
    • 多くのアクターがこの問題を意識した
      • 手紙、法律本、密告、枢密院の議事録、政治家のスピーチetc
      • 問題意識が共有できていただけで、解決策が一致していたわけではない
    • Universal Trade計画
      • 革新的農業と漁業政策
      • 利益を植民地政策へとプールする
      • 革新のない実は守秘
      • 農業と漁業部門におけるタダ乗りには罰金と土地没収の導入、密告者への報酬
      • →手紙で流通
    • ティピカルなプロジェクターか?→脱プロジェクタのための
      • 当事者も悪評を自覚
      • 独占的、権威押し付け的と見なされてはいけない
      • 対応は異なってくる
      • 山本君の著書ではそれぞれの戦略を分析しているそう
  • しわ寄せ・与勝なき経済発展を目指すというスローガンの慣習化
    • 独占禁止法が独占化、規格化プロジェクターに対する法律として議論される
    • 隠匿王室領土の発見プロジェクト
      • 言いがかりをつけるやつが特許をもらって難癖をつけてピンはねして国庫に納める
      • 王権の富を増やすための
      • 良き臣民を悪しき臣民の手に渡すような物
      • 最大限の収入を最低限の暴力で
    • Petty新税導入の試み
      • 特許の見返りで政府主導で税金を導入し、自身を税金徴収官に自薦しようとした
      • できなかった
      • 新税導入を強行することに対する不満が人口に蔓延しているからできない
    • サイダー製造法
      • 年80万ポンドを国庫に納められる
      • 臣民に新しい税や不利益を課さない
      • なわけないよね
    • ガリバー旅行記
      • プロジェクターアカデミー
      • 女性の美貌と男性の礼儀正しさを事故申請に応じて累進課税する
      • 皆いっぱい払うだろうという皮肉
    • 脱プロジェクター批判のための試作も結局風刺の対象になった
    • アイルランドやスコットランドではプロパガンダ、ハチャメチャなことが横行
    • どうやって「独占」するかってこと=プロジェクトの錬金術だったんですね(メモ)
    • 風刺って資本主義の正当化原理の機能不全を部分修正するためのガバナンスの仕組みの一部
    • 政治や立法だけでなく公共圏と市民社会が果たした役割にも注目する必要がある
  • これ人間の業の話ですよね(メモ)

こういう話って現代社会と勿論つながっていて、僕らも常にこういうモラトリアムみたいなものと戦っているでしょう。「資本主義の正当化」というやつのロジックも、随分熟練してきたとは言え、社会起業やCSRに対する批判の目、って大衆のリテラシーとか2ちゃんがSNSがってだけの話でもないですよね。

結構色々なヒントがあった気がするなあ。

そういや山本さんは以前TEDでも話しているので宜しければこちらもどうぞ。

この講演の帰りがけ、久し振りにTEDxTokyoやってる友人とも話せて面白かった。明日はTEDxKeioSFC行って来ます。

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