2012/9/13

1から作る

たまたま別件で、お世話になっている人とメッセージをしていて、「1から作るのは楽しいですよね」という話になりまして。そうなんですよね、1から作るのは楽しい。住まい作るのも楽しかったし、料理作るのも楽しいし、で、場所は違えど、お互い楽しんで「1から作りましょう」、という話になったのだけれども。

これただ、「0から作る」って話ではないなあと。何かを作るにはほとんどの場合、1があって、例えば住まいなら家具や家電と部屋割りとかだし、料理なら道具や材料だろうし、ETは僕の学生時代の経験を礎にできてきたし。

こういう時にいつも考えるのが「与件と制約」ということですよね。客商売をやっていると、常にそこには何らかの与件があって、その上で、それに基づいた制約が発生する。その上で、何からの解決策をデザインしていく。アートはもしかしたら、「0から作る」こともあるかも知れないですけど、デザインはほとんどの場合、「1から作る」ことを起点にしているのだろうと思います。

だから多分、与件との対話ってすごい大事で。今、一緒に仕事をしているUXデザイナーの仕事を見ていると、すごく丁寧に与件を洗い出していって、そこで生まれる制約を一つずつ把握して、その上で、設計をして、ロジックの整合性を詰めていくという作業に感心します。僕は割とざっくりなので、こういう人と動いていると良いのだろうなと思う。

最近、ETの仕事自体は必ずしも「1から作る」仕事が多くはなくなってきていて、1の部分はお任せして、2、3の辺りで動いているケースも多いんだけれども、やっぱりリニューアルとかリファインよりも、新規立ち上げ系の方がダイナミックであることは確かだし、頭から入っていくプロジェクトはエキサイティングだと思います。っていた方が見通しが良いというか、見渡しが効くというか。

後は1に引き継ぐものって言うのの見定めみたいなことは大事かなあと思います。0から1の間にあるもので、全てを1に還元する必要はなくて、例えばETであれば、僕のマインドセットやスキルセットは引き継いでますが、当時のネットワークや実績は、まあ既成事実としてあれど、「僕のもの」ではなかった気がするので、ETに引き継いでない。そういう切り分けが、ETの場合には功を奏していて、まあ大分ゆっくりでしたけど、独立性を保って仕事してこれたのかなあと思います。

だから、考えたいのは、また「1から始める」という時に、何を引き継いで、何を引き継ぐべきか、ということですよね。別に不必要なものは捨てる、という話ではないのだけれども、プライオリティのつけ方というか、次に目指したいことを念頭に、与件の整理と制約の把握と、そこから設計して、ロジックの整合性を詰めていかなくてはいけない。

「1から作る」のは楽しくて、そういうことの機会をたくさんもらえてるってのは、なんかこの仕事の醍醐味の一つかも知れないですね。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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(2012-10-5)
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