テマヒマ考
最近、六本木の21 21 design sightに「企画展 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」というのを観に行きました。読んで字の通り、東北の言わばデザインというフィルタを遠した物産の展示で、百貨店の物産展とは180度違うわけですが、ある意味で「テマヒマ」の標本のようでもあり、懐古的でありつつも実験的な試みも多く盛り込まれていて、なかなか面白かったです。
さて、「テマヒマ」という話。
実は先週から一人暮らしを初めていまして、自宅兼作業場ということで、周辺環境的にも条件的にもかなり僕的には恵まれていると言って良いところで日々を送っているのですが、そんなわけで、家事をしています。家事と言っても、子育てを当然含みませんから、まあ大したことはなく、食事と洗濯と掃除くらいですよね。主夫見習い的な。ただそういうことをやってちょっと気付いたのが、結構テマヒマ界隈の話だなあと。
料理ってすごい属人性高いスキルだと思うんです。何をイキナリと思うかも知れませんが、料理から属人性取り払うと、本当に玄関開けたら2分でご飯とか、お湯を注いで3分でラーメン、みたいな話になっちゃう。僕割とそういう意味では料理にはすごい今時間を割いていて、とは言え、2時間とか3時間とかかけられるわけでは当然なく、仕事してて、15分くらい気分転換したいなあとか思うと、じゃあセロリ漬けるかー、とかやってるんですね。これ結構楽しい。
あと安い肉とかも、例えばオーブンで30〜40分くらいかけてゆっくり塊を焼くと大分美味しいなあと。良い素材を使おうと思うと、こと首都圏では知り合いでもいない限りは、より高いお金を出すしかチョイスがないですが、調理方法に関しては「テマヒマ」の世界だったりするので、結構リカバリ効きますよね。これは嬉しい。
一方で今回転居の際にドラム式の洗濯乾燥機を後輩に薦められまして。なんか色々あり買ってしまったのですが、これはすごい。今日届いて洗濯物入れてみたのですが、まあセットアップしちゃえば後は2時間くらいほったらかしで洗濯終わってますよね。この、「洗濯という営みをせずして、洗濯が終わっている」というのは結構な未来感ありました。
なんだけど、テマヒマってやっぱり「面白み」でもあるんじゃないかなあと思っていて、たまたま、僕は洗濯に関心はなくて、料理に関心がある人なので良かったのですが、個々の経済レベルの成長が頭打ち、ないし、どん詰まり、という時に、どれだけ「テマヒマ」をかけれるかってのは、生活の豊かさを左右する問題じゃないかなあと思います。
その上で、テマヒマかけなくても良いこともあると思うんですよ。こないだカボチャ包丁で叩いてペーストに近い状態にしようとしたら相当大変でしたし、調理器具って日進月歩で色々な可能性を示唆してくれますよね。
まあだからデザインとかエンジニアリングとかあっても、結局ヒューマンスキルの部分でどれだけ「テマヒマ」かけれるかのような気がして、そうすると「家事」も「ビジネス」も差別化要因って結構似てきますよね。結局、良くも悪くも属人性の高い部分が一番工夫の余地があって、コストも圧縮できて、新しい仕掛けを作れるという。
というわけで、どうテマヒマかけるかってのは、色々楽しそうな感じがします。

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)