2012/5/15

フリーエージェント社会再考

@taromatsumura とも、オクトバーフェストでビール片手に話してたんですけど、ノマド、ノマドと言って来て、本丸問われれば何かって考えると、やっぱり、どうやって働くか、ではなくて、どうやって食べていくかだと思うんですよね。

フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか
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例えば、ノマドの文脈でも、「会社員にだってノマドはいる」みたいな話や、「十年以上フリーランスやってきて、今更ノマドとか言われても迷惑」みたいな話もあって、むしろ大事なのは「雇われない生き方」が世の中的にどう機能していくか、ということなんじゃないかと思っています。

古くは士業や文筆業の方々が多かったフリーエージェントですけど、デザイナーやプログラマーさんなどもインターネット以降、フリーエージェントとして働きやすくなったし、Twitterとかでも相当数見かける気がします。実際、僕も色々なフリーランスの方々と仕事をしていたりする。

なんだけど、これが恒常的に楽しく仕事を続けている業態かというのは議論があると思っていて、これすなわち僕自身の問題でもあると思うわけですが、フリーランスを数年やって企業に戻る仲間もいるし、会社を作る知り合いもいるし、その理由も様々だし、割と何が正しいとは言えない感じはしますよね。

自分とはちょっと離れたところに目を向けると、例えば海運業界って財閥系とかのいくつかの有名な会社が回している業界と思いがちだけど、意外とそこで用船されてる船の船主さんとかって、地方の一軒家に〇〇海運みたいな看板かかってて、そこで数名のスタッフで、あんなでかいものを世界股にかけてマネージメントしてたりしますし、どうやら世界中にそういう小規模のブローカーさん的な人や船会社があるみたいです。

後はよく例示する話ですが、農業やっている人の農業素晴らしいと訴える力は結構おそろしくて、「熊本永住したくなったでしょ」みたいな話に僕も引きずり込まれないように気を付けなくてはいけないしw、陶芸家のクライアントからは逆に「弟子にしてくれ、とだけは言ってくれるな」と言われているし。この辺の話も極めてフリーエージェントに近い仕事の仕方だよなと思います。

だから何が言いたいかというと、まだまだフリーエージェントとかフリーランスと言った時の仕事の捉え方って、狭いな、って感じがするんですよね。もっと、昔からうまい具合に仕事回しつつ、過度なストレスを負わず、無理なスケジュールにも悩まされず、自分の仕事を大事にしている人達いるよなあと。

勿論、アメリカ的な意味でのフリーエージェント観は大事で、今テレワークみたいに言われてることって海外はやっぱり進んでいて、「会社に出社して来なくても当たり前」みたいなワークスタイルって、今のテクノロジーに支えられた新しい働き方の形だと思うから、そういうものがフリーエージェント社会を実現させていくんだろうと思うんですけど、そういうことを活用しつつ、でも自分の仕事を作る、というか、加藤康祐という商売を作る、みたいなことに関しては、もう少し視座を広げて考えないといけないんじゃないかなあと思うんですね。

「80歳まで寿司を握る」みたいなのはある種の憧れですが、じゃあ「80歳までWEB作るの?」と問われると、それもまた今の世の動きを鑑みるとしっくり来ませんから、フリーエージェントとしての持続可能性を見定めるには、もう少し「加藤康祐なる商売」を、きちんと握ってあげないといけないと思うんですけど。それは何かデザイナー→ディレクター→プロデューサー的なことではないだろうな、とは思ってます。

まあ割とET10年目まであと3年とか考えると(うち2005年5月が一応のスタートなので)色々考えるところではあります。うす。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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(2012-10-5)
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